2026/04/17 18:55
神話の地・出雲。
この土地には、光だけでは語れない物語があります。
神々が集い、祈りが重なり、
生と死、常世と黄泉が静かに交わる場所。
その深く、仄暗い余韻を一杯に落とし込んだのが、
**「黄泉の柑橘」**です。
ひと口目に広がるのは、
グレープフルーツの鋭く爽やかな香り。
けれど、それだけでは終わりません。
その奥からじわりと現れるのは、
しっかりと舌に残る渋み、
そして輪郭のはっきりした苦味。
軽やかで飲みやすいだけのセルツァーではなく、
あえて“影”を残すように設計した、
大人のための一本です。
IBU33。
その数値が示す通り、
このセルツァーには、どこかIPAを思わせるような
芯のある苦味があります。
柑橘の明るさと、
あとを引くほろ苦さ。
相反するふたつの表情が重なり合い、
飲むたびに深みを増していく。
まるで黄泉比良坂や猪目洞窟の境目に立つような、
こちら側と向こう側のあわいを感じる味わいです。
甘さに逃げない。
やさしさだけで終わらない。
けれど重すぎず、食事にも寄り添う。
その絶妙な均衡が、
**「黄泉の柑橘」**のいちばんの魅力です。
脂のある料理、塩気のあるおつまみ、
香ばしく焼き上げた肉料理とも好相性。
口の中をすっと切り替えながら、
苦味の余韻が静かに次のひと口を誘います。
甘くないセルツァーを探している方へ。
IPAの苦味が好きな方へ。
食中酒として、少し個性のある一本を求める方へ。
これは、ただ爽やかなだけの柑橘ではありません。
出雲の神話性をまとった、
もうひとつの柑橘。
暗がりの中でこそ輪郭を持つ、
記憶に残る味です。
「黄泉の柑橘」
どうぞ、静かに深く、お楽しみください。
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